
2021年の発売開始以降、全国のシルバー人材センター様でご活用いただいております、
草刈用防護ネット飛石マモル君。
この商品は1年以上の時間をかけて、私たちジュトクが企画・開発をしたオリジナル商品であり、シルバー人材センター様専用モデルです。
開発に至った思いはただ一つ。「飛石事故を減らしたい!」。
多くのシルバー人材センター様のご意見を元に開発した、草刈用防護ネット飛石マモル君の開発物語をご紹介させていただきます。
目次:
1.スタッフの一言から開発がスタート
2.フレームの強度と軽さを追求した試作2号機
3.試作2号機で起きた悲劇
4.折れた心を取り戻して完成へ!
5.まとめ
1.スタッフの一言から開発がスタート

少し前の内容とはなりますが、「令和元年度損害補償責任保険事故」に係る調査によりますと、令和元年度に保険給付があった損害賠償金額が1件あたり20万円以上の事故について、一番多い仕事の内容が「除草、除草剤散布、草刈り」で358件(全体の73.66%)です。
また、事故の型とすると「飛散させた物で損壊」が320件となり大部分を占めています。
※出典:シルバー人材センター安全就業の手引き 第六改定 編集兼発行者:公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会
2020年1月、シルバー人材センター様を担当していたジュトクスタッフが、社内でこんな一言をもらしました。
「飛石事故を減らしたいんだよね。」
そのスタッフは、全国各地のシルバー人材センター職員様とお話をしている中、除草・剪定作業時の飛石事故の多さをよくお聞きしていました。
「防護ネットさえ張っていれば防げた事故は多いのだけれど・・・。」
そのようなお声が多かったことがスタッフの印象に強く残り、何とかお役に立ちたいと思った。そんなスタッフの思いが、草刈用防護ネット開発のきっかけでした。
そして、2020年5月。試作1号機の開発を開始します。

分割可能な塩ビパイプでフレームを作製してみました。
しかしこのフレームでは、風に煽られてしまう。これはフレーム自体の強度が足らないからという判断に至りました。
また、持ち手が露出しているため危ないのではないか、と開発にご協力いただいていたセンター職員様からご指摘を受けました。
そして、試作2号機の開発に進んでいきました。
2.フレームの強度と軽さを追求した試作2号機

2020年8月。試作2号機の開発がスタートします。
試作1号機によって露呈した弱点、それがフレームの強度と重さでした。
塩ビパイプ同士を繋げるパーツが完全に塩ビパイプを固定できる形になっていないが故に、風に煽られるとフレームがしなってしまい、グラグラと揺れてしまっていたのです。
「フレームの素材を見直さないとだめだ!一から見直しをしよう。」
開発メンバーから声が上がりました。
シルバー人材センター様の会員は60歳以上、平均年齢は70代半ば。元気な方が多いとはいえ、高齢。「軽い防護ネット」の方が絶対によい。
でも強度は必要になる。鉄なら強度はあるけれど、重量と「錆びてしまう」という問題点がある。何かいい素材はないものか…、議論は白熱していきました。
素材探しに難航したまま日々が過ぎていく中、ジュトク製造スタッフの一人から、こんな声が出てきました。
「強度と軽さが特徴の金属がありますよ。アルミです。」
アルミか!!試してみよう!!開発スタッフからは興奮の声が上がります。
そして、フレームの素材をアルミに変更し、試作2号機を製作します。

分割可能なアルミフレームで作製。アルミのおかげで非常に軽いフレームに仕上がりました。また持ち手を付けることでネットの露出部分を減らすことに成功します。しかし、フレーム同士の接続方法に大きな課題を抱えました。簡単に組み立てることができないという課題・・・。
3.試作2号機で起きた悲劇

2020年10月。ジュトクスタッフは試作2号機を持って、愛知県の新城市シルバー人材センター様のところへご意見を伺いに行きました。
試作2号機を四苦八苦しながら組み立て、展開をし、職員様に見ていただいていた瞬間でした。
予想を超えた悲劇がジュトクスタッフを襲います。
ポキッとフレームが折れたのです。職員様の目の前で・・・。
そこからは一瞬でした。あれよあれよと各パーツが分解され、落ちていってしまいました。
スタッフ曰く「まるでリンゴの木からリンゴが落ちるように、ボロボロっと取れてしまったんです」と。
スタッフの頭にはニュートンが浮かんだとのことでした。リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見していなかったとしたら、私が試作2号機からパーツが落ちるのを見て、万有引力を発見しただろうな、と・・・。
その場にいたスタッフだけでなく、開発メンバー全員、モチベーションの芯なる部分も折れてしまった、そんな出来事でした。
4.折れた心を取り戻して完成へ!

ポッキリと折れてしまったフレームと自信。センター職員様(つまりジュトクのお客様)の目の前で起きてしまったことも相まって、スタッフは相当落ち込みました。
でも、前に進まねばなりません。
「なぜフレームが折れたのか」その原因を探っていきます。
フレームが折れてしまった原因、それは接触パーツの耐久性が悪かったことでした。
「各フレームを差し込み接続していく、この考え方自体を変えなければ同じ失敗を繰り返すことになる」。スタッフは考えました。
防護ネットをシルバー人材センター会員様に使っていただくためには、【小さく、コンパクトになること】は絶対に取り入れたい、そのために、差込接続以外の製品展開方法はないのだろうか、開発メンバーで議論を繰り返しました。
2020年11月。気づけば秋が深まっていました。

開発メンバーのひとりが、たまたま手元にあった折り尺を目にします。
「差し込んで接続するのではなくて、折りたたむ形式でコンパクトにできないだろうか」
ふと、ひらめきます。
そこから試作3号機の開発が軌道に乗り始めました。
組み立て方を根本的に変える。
そのことで展開も簡単になり、現場ですぐに組み立てることができるようになりました。
持ち運びやすさ、展開のしやすさ、ネットの取り付けやすさ、持ちやすさ。
取付部材のひとつひとつに目を配り、「どうしたら会員様に使いやすいと思っていただけるか」を追求していきました。
そして4か月後の2021年2月。
草刈用防護ネット飛石マモル君は完成しました。
5.まとめ
草刈用防護ネット飛石マモル君
は2021年3月1日に発売開始。以降、全国各地のシルバー人材センター様にご使用いただいています。
飛石事故の対策としては、刈払機自体を飛石しづらい物に替えるという形を行っていらっしゃるセンター様が多くいらっしゃいます。また防護ネットを設置する位置について学ぶなどの研修も行っていらっしゃることをお聞きしています。
今後ともわたしたちは、「飛石事故を防ぐ」ことはもちろんのこと、人手不足が叫ばれている中、会員様にとって快適に使用していただけることも目指し、製品の開発を行っていきます。
「地域社会を元気にしたい」
地域を支えるシルバー人材センター様の活動を応援させていただくことで、その願いを実現していきたいと考えております。
ぜひ皆さまの活動におけるお困りごと、ご相談いただければと思います。
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