シルバー人材センターでのSNS活用方法とは?~Facebookがいい?Instagramがいい?~

近年、地域社会における情報発信の手段として、SNSは欠かせない存在になっています。50代以上の世代においてもSNSの活用は当たり前となり、FacebookやInstagramを通して地域の情報のケースを得るケースが増えています。
シルバー人材センターは高齢者の方に働く機会を提供し、地域社会を支える存在です。その活動をより広く知ってもらう為には、新聞やチラシ、広報誌などの従来型広報だけでなく、SNSを通じた情報発信がますます重要になっています。
こちらの記事ではInstagramを活用しているシルバー人材センターの調査結果をご紹介しました。
シルバー人材センターでのInstagram活用調査 〜全国の運用事例と成功の秘訣〜
今回は上記に続く第二弾として、「Facebook活用」を中心に取り上げ、最終的にはFacebookとInstagramをどのように使っていけばよいのか(どちらがよいのか?なども)を考えてみます。
目次:
1.いまFacebookを活用するシルバー人材センターはどれくらい?
2.Facebookの強みとは?
3.Instagramと比べるとどう違う?
4.Facebook活用の実践アイディア
5.FacebookとInstagramを両立させると広がる可能性
6.まとめ
1.いまFacebookを活用するシルバー人材センターはどれくらい?

前回の記事では、Instagramのアカウントを持ち、情報展開をしているシルバー人材センター様の都道府県別割合をご紹介いたしました。
今回は、2025年9月時点でのFacebookアカウント開設割合を調査してみました。
(Instagramの時と同様、都道府県によってセンター数が異なるため、「該当の都道府県でアカウントを保有しているセンターの数」での比較ではなく、「該当の都道府県でアカウントを保有しているセンターの全体においての割合」で比較をしてあります)
Facebookアカウント開設の割合を都道府県別にグラフにしたものが下記です。
※2025年9月時点です

47都道府県のうち、アカウントを開設しているセンターが1つ以上あるところは35都道府県でした。ですので、12都道府県についてはFacebookアカウントを開設しているセンターがない、ということになります。
<Facebookアカウント開設割合ランキング ベスト10>
順位 | 都道府県 | Facebookアカウント開設割合 |
1位 | 広島県 | 31.82% |
2位 | 富山県 | 25.00% |
3位 | 兵庫県 | 22.86% |
4位 | 大分県 | 20.00% |
5位 | 東京都 | 18.64% |
6位 | 岩手県 | 15.63% |
7位 | 山形県 | 15.38% |
8位 | 宮城県 | 14.29% |
9位 | 島根県 | 14.29% |
10位 | 奈良県 | 12.90% |
比較するために、同時期におけるInstagramアカウント開設割合ランキングをご紹介します。
<Instagramアカウント開設割合ランキング ベスト10>
順位 | 都道府県 | Instagramアカウント開設割合 |
1位 | 宮崎県 | 38.10% |
2位 | 広島県 | 36.36% |
3位 | 愛知県 | 32.73% |
4位 | 福岡県 | 27.91% |
5位 | 福井県(※) | 25.00% |
6位 | 宮城県 | 22.86% |
7位 | 石川県 | 15.79% |
8位 | 神奈川県 | 15.15% |
9位 | 岡山県 | 14.29% |
10位 | 島根県 | 14.29% |
前回調査をした2025年3月から半年が過ぎましたが、プラス13のセンター様がInstagramアカウントを開設されています。
※福井県は前回9位でした。今回、5位に上がっています。
Facebook、Instagramそれぞれにおける順位を比較してみましょう。
<Facebook・Instagramアカウント開設ランキング上位10位の比較>
順位 | ||
1位 | 広島県 | 宮崎県 |
2位 | 富山県 | 広島県 |
3位 | 兵庫県 | 愛知県 |
4位 | 大分県 | 福岡県 |
5位 | 東京都 | 福井県 |
6位 | 岩手県 | 宮城県 |
7位 | 山形県 | 石川県 |
8位 | 宮城県 | 神奈川県 |
9位 | 島根県 | 岡山県 |
10位 | 奈良県 | 島根県 |
広島県については、Facebookで1位、Instagramで2位と両SNSにおいて高い開設割合となります。
他には、宮城県と島根県が両方でランクインしていますが、他はあまり重なっていません。
ここからわかることとしては、「FacebookとInstagram両方のアカウントを開設しているセンターよりも、どちらかのみ開設しているセンターが多い」ということです。
特徴的だったのは下記2つの都道府県です。
<Facebook・Instagramアカウント開設割合>
都道府県 | コメント | ||
東京都 | 18.64% | 5.08% | Facebook開設割合が多い |
愛知県 | 7.27% | 32.73% | Instagram開設割合が多い |
2025年9月時点のジュトク調査では、
全国のシルバー人材センター様(連合会含む)のFacebook・Instagramアカウント開設数ですが、
Facebook・・・101
Instagram・・・133
であり、
うち、「FacebookもInstagramも開設しているアカウント数」は33でした。
この33という数字、多いとみるのか、少ないとみるのか、にはなりますが、まずは今回メインで取り上げるFacebookにはどのような強みがあるのか、考えてみます。
2.Facebookの強みとは?

Facebookを運営しているのは、旧社名:Facebook,Inc. 現社名はMeta Platforms,Inc,です。このMetaですが、Instagramも運営しています。つまり、今回ご紹介しているSNSの2つとも、同じ会社が運営しているということです。
(他にも、Threadsという、Xに似た短文投稿型のSNSも運営しています)
このFacebookの特長、強みを整理してみます。
強み① 中高年世代との親和性が高い
Facebookは40代以上の利用率が比較的高く、InstagramやTikTokに比べて中高年層に浸透しているSNSとなります。
ビジネスで活用されている層も多いですし、「自ら投稿はあまりしない=SNSにはあまり詳しくはない」けれど、情報収集をするために活用している層も多いため、シルバー人材センターの今後の会員層となる50代以上に情報を届けていくには最適なSNSです。
強み② 文字情報の発信に強い
InstagramやTikTokなどは写真や動画での発信に向いているSNSのため、発信側に立つと、ある意味ハードルが高いとも考えられます。しかし、Facebookの場合、文字情報中心で発信ができますので、写真加工・動画編集などのスキルを気にしなければいけない度合いも減ってきます。イベント詳細、就業の流れ、会員募集要項など、文字を多く使う情報発信に適しているのではないでしょうか。
また、WEBページへのリンクを貼ることもできますので、センターHPの対象ページにリンクをさせて、「このようなイベントがありますのでぜひお越しください!」などの一文を加えて投稿していくだけでも十分になります。
強み③ コミュニティ形成に強い
グループ機能やイベント機能がFacebookにはあるため、地域コミュニティ・団体・サークルといった「つながり」を育てやすいSNSです。
コメントやシェアによる交流がしやすく、「顔が見える関係性」が築きやすいです。
よって、シルバー人材センターのボランティア活動や、サークル活動などの募集にも適しています。
強み④ 情報の蓄積性と検索性が高い
Facebookは過去の投稿やイベントの記録を後から探しやすく、情報資産として蓄積できる点も大きなメリットです。
活動記録やイベント報告を「アルバム化」することで、後から振り返ったり、新しい方に見せたりしやすい点も利点となります。
これらは「地域に根差した活動」を行うシルバー人材センターにとって、非常に相性が良いポイントといえます。
強み⑤ 信頼性が高く公式感を得られる
Facebookページは「公式アカウント」として使いやすく、自治体や企業、団体の広報で多く使われています。
「住所・連絡先・地図・問い合わせボタン」なども設置できるので、名刺やパンフレットに変わる役割も果たせます。
このような強みを持つFacebookは「地域活動や団体の公式広報」、「シニア層や地域住民への情報発信」に力を発揮するSNSと言えます。
3.Instagramと比べるとどう違う?

ここで、前回取り上げたInstagramとの比較を整理していきます。
ユーザー層の違い
●Facebook
・30代~60代の利用者が多い
・特に40代以上の利用率が高い
・ビジネスや地域活動に関心のある人が多い
●Instagram
・10代~30代の利用が中心
・ビジュアル重視の世代、女性ユーザーが多い
・ライフスタイルや趣味に関心がある人に情報が届きやすい
コンテンツの特性
●Facebook
・テキスト+写真+リンクが組み合わせしやすい
・長文投稿やイベント案内に強い
・活動報告や公式広報に向いている
・過去の投稿が探しやすく「記録」になる
●Instagram
・写真や動画が中心(ビジュアルで魅せるSNS)
・ストーリーズ・リールといったショート動画が人気
・感覚的に「楽しそう」「おしゃれ」「映える」「音が素敵」などを伝えることに強い
・投稿は流れが速く、鮮度重視
交流の仕組み
●Facebook
・コメントやシェアを通した「会話」や「議論」がしやすい
・グループやイベント機能でコミュニティ形成に強い
●Instagram
・「いいね!」や「保存」、「ストーリーズへのリアクション」が中心。交流は軽め。
・フォロー・フォロワー関係を通じたゆるいつながりが特徴
FacebookとInstagram。現在は同じ会社が運営しているSNSですが、上記のように違う特徴を持っています。
それぞれの特徴を知り、活用していくことが大切になります。
では、Facebookについては、どのように活用していくことがよいのでしょうか?
次パートでは、様々な実践アイディアを取り上げていきます。
4.Facebook活用の実践アイディア

シルバー人材センターの情報発信として、Facebookをどのように活用すればよいのでしょうか?
ポイントは「地域とのつながり」「活動の見える化」「信頼感の発信」です。
5つの具体的なアイディアをご紹介させていただきます。
アイディア①:活動報告・実績紹介の投稿
地域清掃活動、見守り支援など、様々な活動の様子を写真付きで紹介。
「こんな活動をしています」と見える化することで、お仕事の依頼者や、地域住民に安心感を与えます。
また、写真アルバム機能を利用し、年度ごとの活動記録として残すこともできます。
アイディア②:イベントや説明会の告知と集客
センター主催のイベントや、会員募集説明会、誰でも参加できる交流会などをFacebookのイベント機能で告知。
イベントページから参加表明ができるため、事前に参加人数を把握しやすくなります。
イベント終了後は、写真をシェアし「活動の活気」を見ている方にアピールしましょう。
アイディア③:地域情報・生活に役立つ情報の発信
地域の防災情報や健康・安全に関する記事、地元自治体の広報などを「シェア」。
シルバー人材センターが「地域に寄り添う存在」として地域における信頼感が増します。
会員や市民が思わずシェアしたくなるような情報を届けましょう。
アイディア④:会員インタビューや人材紹介
実際に活動している会員様の「声」を記事などで紹介。
または、シルバー人材センターで働く職員さんの「声」を記事などで紹介。
「どのような人が働いているのか」が伝わることで、お仕事の依頼者に安心感を与えることが出来ます。
会員様自身のモチベーションアップにもつながる可能性があります。
アイディア⑤:成功ストーリーの共有
「庭の手入れを綺麗にしていただいてうれしかった」などの依頼者様の声、「地域の祭りに参加をして会員さん全員で踊った、皆が笑顔になった」などを具体的に発信。
地域におけるシルバー人材センターの存在感をあげていきましょう。
Facebookは地域の中高年層に方にも情報が届きやすいSNSです。写真+短い文章で、地域に伝わりやすいトーンで発信していくことが効果的です。
Facebookに限らず、SNSは継続性が大切です。継続するためには、行き当たりばったりではなく、年間、月ごとのイベントと連携し、計画性を持って運用していくことが大切です。
例えば、このようなFacebook運用計画はいかがでしょう。
シルバー人材センターFacebook運用計画(年間モデル)
●1月:新年の挨拶と活動方針の共有
- 年頭所感(理事長のメッセージ)
- 今年予定している活動や目標の紹介
- 新年の行事や地域イベントの様子を投稿
●2月:安全・研修に関する情報発信
- 冬場の事故防止(転倒防止や防寒対策)についての記事
- センター内で実施した安全講習の様子
- 活動準備や研修風景の写真
●3月:年度末の活動報告
- 1年間の活動実績を振り返るアルバム投稿
- 会員インタビュー「今年の思い出」シリーズ
- 地域から届いた感謝の声を紹介
●4月:新年度スタート・会員募集
- 新年度の活動方針を発表
- 新規会員募集のお知らせ(申込方法など)
- 春の活動風景(清掃活動・農作業開始など)
●5月:地域イベントとの連携
- ゴールデンウィークに合わせた地域行事の参加報告
- 地元自治体の広報情報をシェア
- 総会の様子を写真付きで投稿
●6月:熱中症対策の紹介
- 草刈り・農作業支援など、夏場に多い依頼事例を紹介
- 熱中症対策や健康管理の情報をシェア
- 活動中の写真を中心に投稿
●7月:安全対策強化月間 - ヘルメット・作業帽子・反射材など安全用品の紹介
- 危険予知活動(KY活動)の実施例
- 豪雨や台風への注意喚起
●8月:地域との交流強化
- 夏祭りや地域行事での活動報告
- 子ども・学生との交流エピソード紹介
- 暑中見舞い風のメッセージ投稿
●9月:地域行政とのつながり発信
- 地域行政とシルバー人材センターの関わりを発信
- 10月以降のイベント案内
- 地域の子供たちを支えるシルバー人材センターの力を発信
●10月:シルバー人材センター普及啓発強化月間
- ボランティア活動の紹介
- 会員の声や活動成果をまとめた特集投稿
- 「私たちの活動が地域を支えています」と広報
●11月:秋の活動レポート
- 秋の清掃活動・紅葉シーズンのボランティア風景
- 会員インタビュー「やりがいを感じる瞬間」
- 地域イベント(運動会、文化祭など)での協力報告
●12月:1年の総まとめ
- 年間の活動ハイライト(写真アルバム形式)
- 会員への感謝メッセージ
- 来年への期待を込めた投稿
これらはあくまで一例ですが、このように実際の活動予定や地域行事に合わせて調整をしていけば「年間を通じて運用できる計画表」になります。
計画表が完成したら、あとは各月の投稿タイミングを決めて(週1回・週2回など)、各回の打ち出し内容を検討していくなど、より細部をつめていきましょう。
SNSについては、どうしても担当者「個人」の力に頼ってしまいがちですが、そうなるとその担当者の他業務量、または離脱などが、更新に影響してしまいます。
組織として運用することを心がけ、計画していくことが大切です。
5.FacebookとInstagramを両立させると広がる可能性

最初に、FacebookとInstagramの両方のアカウントを開設しているシルバー人材センター様は限られている、とご紹介しました。
SNSを運用していくことは大変です。人員が限られていればなおさらです。
しかし、この2つのSNSはご説明してきましたように、違った特徴を持っています。
つまりは、FacebookとInstagramは、どちらか一方ではなく「両方を使う」ことで強みを発揮する、ということです。
例を挙げれば、
● Facebookで地域住民や会員、行政関係者に活動を丁寧に伝える
●Instagramで若い世代や新たな会員様候補に魅力を直感的に伝える
などがあります。
このように役割を分担することで、より広い世代にシルバー人材センターの活動を知ってもらうことが可能になります。結果として、会員増加や地域とのつながり強化につながるのです。
他にも、2つのSNSを使い分けることで下記のようなことが期待できます。
●公式性と共感の両立
Facebookで「公式情報」を届け、Instagramで「現場の空気感」を伝えることで、安心感と親近感を同時に育てられる。
●新しい依頼や会員獲得の可能性
若年層の家族がInstagramを見て、親世代への依頼につながるケースや、活動を楽しそうに見た人が新規会員になりたいと思うケースが期待できる。
●情報拡散力の強化
Instagramでの「いいね」やシェアによる拡散、Facebookでのグループ・地域ページでの共有が相乗効果を生み、活動が地域の枠を超えて広がる。
ぜひ、FacebookとInstagramの2つのSNSにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
※2つを分けた投稿が出来ない場合は、Instagramで発信した内容を同時にFacebookに投稿することもできます(設定すれば自動でできます)。まずは2つのアカウントを作り、無理がない範囲で、2つの投稿を分けていく、ということも良いと思います。
6.まとめ
今回の記事では、Facebookを中心にその特長と活用法をご紹介しました。
Facebookは「中高年層に届きやすく、詳細情報を伝えるのに強い」、 Instagramは「若い世代に届きやすく、活動の魅力を写真や動画で伝えやすい」という違いが、2つのSNSにはありました。
それぞれの良さを理解し、バランスよく使い分けることが、シルバー人材センターの情報発信力を高めるカギとなります。
「地域に根差す活動を広く伝えるFacebook」と「活動の魅力を視覚で伝えるInstagram」。両輪で回すSNS戦略によって、より多くの方にセンターの活動を知ってもらい、会員や協力者を増やしていきましょう。
ジュトクでは2025年5月よりInstagramを開設いたしました。
@silver_voice_jutoku
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全国のシルバー人材センター職員様に少しでも良い情報をお届けし、そして「くすっと笑っていただける」そんな息抜きの場にもなるよう、日々投稿しております。
もし「どんな投稿をすればよいか分からないので教えてほしい」「SNSはやっていないのだけど、今後始めてみたい」などのセンター様がいらっしゃいましたら、私たちの経験でよろしければお伝えいたしますので、お気軽にお問合せください。
「地域社会を元気にしたい」
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